2024年に開催されたAマッソ単独ライブ『縦』では、全国13公演・6,500人という驚異的な動員数を記録し、お笑い界にその名を轟かせたAマッソ。その勢いを止めることなく、2025年、メンバーの加納愛子が自身初となる単独ライブ『H15』を、6月6日(金)から8日(日)にかけて東京・成城ホールにて開催しました。
芸人としての活動のみならず、小説家、エッセイスト、そしてドラマ脚本家としても非凡な才能を発揮する加納。開催前に自身のInstagramアカウントを開設し、「MAXをぶつける」と力強く宣言した今回の単独ライブは、まさに彼女の持つクリエイティビティの全てが注ぎ込まれた、圧巻のステージとなりました。全5公演、チケットは即完売。大きな期待感に包まれた会場の様子と、6月8日(日)に配信された千秋楽公演の模様を徹底レポートします。

巧みな話術で一気に引き込む、極上のオープニング
幕が上がると、ステージには加納が一人。オープニングは漫談からスタートしました。最近の心境を語りながら、日常に転がる些細な出来事を彼女ならではの切り口で笑いに変えていく様は、まさに真骨頂。巧みな話術とテンポの良いボケで、観客の心は一瞬にして鷲掴みにされます。会場が一体となる温かい笑いに包まれ、これから始まる「加納ワールド」への期待が最高潮に達した最高の幕開けでした。
脚本家・加納の真髄!常識を覆す“映画仕立て”の長尺コント
ライブの中盤で披露されたのは、一本の映画を観ているかのような長尺のコント。脚本家としても高い評価を受ける加納の世界観が色濃く反映されたこのコントは、観る者の想像を遥かに超えるものでした。物語の導入から引き込まれる緻密な設定。特に観客の爆笑を誘ったのは、とあるリアクションシーンを監督が納得するまで何度もリトライする場面。同じシーンの繰り返しでありながら、演者のアプローチ、カメラワーク、そして予想外のギミックが次々と投入され、あらゆる角度から笑いが押し寄せます。伏線として張り巡らされた演出が一つにつながっていく構成力は、お笑いライブの枠を超えたカタルシスさえ感じさせました。
さらに、物語には過去と現在を繋ぐ感動的な展開も。加納が演じるキャラクターの中学3年生時代を演じたのは、テレビ朝日『トゲトゲ』でも共演し、約3年にわたる親交があるテアトルアカデミーの佐竹咲良さん。初舞台とは思えない堂々とした演技で、加納と阿吽の呼吸の掛け合いを披露。二人の関係値が生み出す空気感が、コントに深みと説得力をもたらしていました。


信頼する仲間たちとの化学反応
今回のステージを彩ったのは、加納が信頼を寄せる多彩なゲスト陣です。芸人チームからは、Gパンパンダ一平、伊東先生、らくちんペクチンいしむら、あづりん、金子カーリーが参加。コント内の楽器を演奏するシーンでは、何か月も前から練習を重ねてきたとのこと。本番の緊張感が客席にも伝わる中、見事な演奏を披露し、大きな拍手が送られました。
また、演劇界から参加した劇団・南極は、コント初挑戦ながら、その確かな演技力とコミカルな動きで笑いを増幅。さらに、普段は裏方としてライブを支えるスタッフが、そのキャラクター設定のまま映像や舞台に出演するなど、加納だからこそできるユニークな演出で、ライブに新たな広がりを見せていました。表舞台に立つ者、裏で支える者、その全員が作品の一部となり、最高のエンターテインメントを創り上げる。そこには、加納の仲間への深いリスペクトと信頼が感じられました。


終演後も続くお楽しみと、未来への期待
会場で販売されたオリジナルグッズは、加納のアイデアが光るシークレット仕様のTシャツやステッカーなど、ファン心をくすぐるアイテムばかり。過去の著作に直筆サインを入れた貴重な書籍も並び、長蛇の列ができていました。そして、嬉しいお知らせとして、6月8日(日)18:00の千秋楽公演は、現在も配信チケットを販売中です。会場で観た方も、残念ながら観られなかった方も、この記念すべきライブのアーカイブを視聴することができます。
配信チケットはこちらから!https://l-tike.com/kanoh15/


緻密に練り上げられた脚本と演出、そして信頼する仲間たちとの化学反応。Aマッソ加納の「今」と「全て」が詰まった単独ライブ『H15』は、彼女が唯一無二のクリエイターであることを改めて証明するステージとなりました。
今後、彼女が私たちにどんな新しい世界を見せてくれるのか。その活躍から、ますます目が離せません。

