2025.11.12

【芸人連載】唯一無二の芸風らくちんペクチン。「4分間喋り続けて、相方は突っ立っている。日常から起こる笑いで表現者へ」

2度の入学と結成秘話

自己紹介をお願いできますでしょうか。

とよだ: はい。ワタナベエンターテインメント所属のらくちんペクチンです。僕はとよだと申します。お願いします。
いしむら: らくちんペクチンの、みんなから見て左側の石村です。
とよだ: 芸歴は、丸6年が過ぎ、7年目に入りました。ちょうど今(取材時)が6年と1日とかになっています。
いしむら: 7年目に入りました。

お二人は養成所に2回入られたという非常に珍しいご経歴をお持ちですね。

とよだ: そうなんです、僕らは2回養成所に入ってて、そこがややこしいんです。
いしむら: 1回目はもうマジでヤバいんですよ。
とよだ: 1回目の26期でいうと、同期にはラパルフェ、ジグロポッカー、コリアンチョップスクワット、いおりちゃんも一緒でただ、その時は所属できなかったので、すぐに入り直して29期所属になるんですが、そっちの同期は、ええと、なんと青ドラのみです。

最初の入学時はコンビではなかったのですか?

とよだ: 1回目は別々で入ったんです。石村はもうスーパー特待生で、授業料全額免除みたいな感じで入ってて。僕はもう完全に普通で、なんなら新聞奨学生とかして入りました。
いしむら: 1回目のクラスは全然別でした。
とよだ: 10月ぐらいにコンビを組み直して、所属できなかったので、再入学の時はコンビで入り直したという経緯です。再入学の金額は、僕は1回目の半額ぐらいだったんですけど、いしむらは1回目が安く入れたので、2回目の方が倍ぐらい払いました。

ネタの根源。日常からヒントを

現在7年目とのことですが、どのようにしてこのスタイルに辿り着いたのでしょうか?

いしむら: 養成所の最初に入った頃は、プロ漫才師の真似をして、しっかりボケツッコミの漫才をやっていた時期もあるんです。でも、ある日突然、全部やめようってなりました。私はずっとやりたくなかったんです。
とよだ: ボケてツッコンで受けるけど、なんかあんまり面白くなかった。
いしむら: 女だからとか、男女コンビだからみたいな空気感があってやってたんですけど、「これ誰がおもろいと思う?」ってなってきて。「マジでやりたくない」と。「それやったらお前(とよだ)がずっと突っ立ってて、私が4分間喋る方が私はおもろい」ってオーダーを出しました。

ネタのベースは何に置かれているのですか?

いしむら: いわゆる芸人さんのボケツッコミというよりは、日常の会話を元にしています。日常会話としておかしいか、おかしくないか、というのを基準にしていますね。
とよだ: 最初は逆風でした。講師や作家さんには、ボケの数がゼロだと見なされ、「なんで何も言わないの?」と何度も言われました。
いしむら: 「女なのになんで何も言わないの?」とも言われましたが、2000字くらい喋ってますけど、と(笑)。でも、独自路線に走り始めたら、所属後も残る結果となりました。

では、ネタ作りにおける分業体制は?

とよだ: 「こういうのはどう?」みたいなアイデアは僕が言うことが多いです。
いしむら:それを私が紙に書き出して、大体4分だからどこを削ろう?みたいな調整を2人でしています。ボケとツッコミがわからないから、とりあえずツッコミのきっかけを一個ポンと上げて、そこからは私に任せるという感じです。

今後の目標や将来的なビジョンについてお聞かせください。

いしむら: 私は早く「おもろババー(面白いおばあちゃん)」になりたいです。人生経験を重ねることで、ネタの材料や、観客に訴えかけられることが増えると思っています。今は応援してくれている同世代の人たちが、人生を重ねて思うことが増えれば増えるほど、私もネタの幅が広がると信じています。

テレビの仕事では何か目指しているものは?

いしむら: 『満天☆青空レストラン』にずっと出たいです。あとポケモンが大好きなので、テレビアニメや映画の吹き替えに出たいです。

とよだ: 僕は野球ですね。北海道日本ハムファイターズを14年くらい応援しているので、そろそろお仕事をさせてもらいたいです。あと、ポケモンバトルは得意で、ランクバトルでは世界の人たちと戦い、4桁ぐらいには乗れるくらい強いです。

最後に2度入学されたワタナベエンターテインメントへの思いはございますか?

とよだ: 僕は、地方(北海道)での遠隔オーディションの際、一番ちやほやしてくれたのがワタナベでした。ちょうど会社を辞めて芸人になろうとしていたタイミングで電話がかかってきたんです。
いしむら: 私は、吉本(の関西のおばちゃんたち)には勝てないと思ったので、東京のチャラチャラ系に行こうと思ったんです。そこでいろんな事務所の資料を見た結果、ワタナベはちゃんと授業があって、演劇のカリキュラムもあり、オーディション形式でプロになれるか決まる段階がある。「芸能って感じ」がして、一番プロっぽいし、かっこよく見えたので選びました。
とよだ: 1回落ちた時も、未来はめっちゃある、ネタの数が少ないのが難しかったと、個別で惜しかった理由を教えてくれました。他の事務所も見たけど、やっぱりワタナベだとなって戻ってきたんです。ここで頑張ろうという思いが強いですね。