2025.12.22

【芸人連載】東大卒×リアクション天然ボケの異色コンビ「はぐれ吉兆」が目指す、“スキルフル”な芸人道

ワタナベエンターテインメント所属、芸歴3年目の若手コンビ・はぐれ吉兆(はぐれきっちょう)。東京大学卒という高学歴を持つ(リン)と、リアクション天然ボケ押花香里(オシバナコウリ)。

一見正反対に見える二人がなぜコンビを組み、ワタナベという事務所を選んだのか。そして二人が描く、少し変わった未来予想図について話を聞いた。

■「ワタナベ」を選んだ理由

――まずはお二人の経歴と、お笑いの道へ進んだきっかけを教えてください。
麟: 僕は東京大学を卒業しています。大学4年生の時がちょうどコロナ禍で、研究室にも行けず、院試や就職をどうしようかと考えていた時期でした。実家に帰らなくてもいい1年があったので、「勝手にしちゃえ」と思って親に電話一本入れて、「ごめん、ちょっと就職しないから」と伝えて養成所に入りました。
――数ある事務所の中で、なぜワタナベエンターテインメントを選んだのですか?
麟: ワタナベにはクイズ番組に出る方や文化人など、高学歴のタレントさんが多く、チャンスが多いのかなと思って選びました。
――押花さんは大阪のご出身ですね。
押花: はい、大阪出身です。自然と芸人になりたいと思っていたんですが、吉本(興業)が怖くて……。 「すべらない話」とかで聞く、先輩が後輩に厳しいエピソードとか、ちょっとヤンキーっぽいイメージがあって(笑)。あと、個人的に「ファイヤーサンダー」さんが好きで、それ一本で決めました。
――養成所の同期だったお二人がコンビを組んだ経緯は?麟: 養成所のクラスが一緒だったんです。僕はどちらかというと漫才がやりたくて、押花はコントがやりたかった。そこで、毎月の養成所ライブで「漫才とコントを隔月でやる」という約束で組みました。
――現在はどちらがメインですか?
麟: 今は9割7分、漫才をしています。事務所に入った時に評価してもらったのが漫才だったので、そのまま毎月漫才をやっている感じです。ただ、事務所外のライブではコントもやっています。
――ネタ作りはどう分担されているのでしょう。
麟: 漫才の時は僕が、コントの時は押花が好きなように書いています。お互い、相手が書いてきたネタに対して「ここは分かりづらいんじゃないか」とアドバイスをし合う関係ですね。意外と言われますけど、僕は麟が書いたコントに口を出したりしますし、麟も僕の漫才に意見をくれます。養成所からのコンビなので、お互いちょっとずつ気を使いながら、喧嘩せずにやっていますね。

■お笑いルーツとは

――それぞれの笑いのルーツについて教えてください。
麟: 僕は京都出身なんですが、親の影響で「ミスター・ビーン」や「フルハウス」といった海外コメディを見て育ちました。動きや顔芸など、日常にあるお笑いが好きでしたね。ただ、今の芸風にそれが生きているかというと、今は普通の漫才をやっているので……。
押花: 僕は「エンタの神様」や「レッドカーペット」世代で、陣内智則さんが大好きでした。
――コンビとしての役割分担はどう考えていますか?
麟: 僕にないものを相手が持っているから組んだ部分はあります。押花はリアクションが良いんですよ。僕はキャラ上、天然ボケがあまり効かないタイプだと思われがちなんですが、実はおっちょこちょいな部分もあって、そこをうまくカバーし合えていると思います。
押花: 麟は頭の回転が速いので、そこは圧倒的な強みですね。

■今後の展望

――今後の展望についてお聞かせください。テレビに出たい、などの目標は?

麟: ゆくゆくは政治の道へ……総理大臣になりたいです。もちろんボケ半分ですが、ワタナベに入ったのも「マルチに活躍したい」という思いがあるからです。バラエティはもちろん、俳優業や音楽、文化人としての活動も視野に入れています。自分の考えを発信する場所を持ち続けたいですね。
押花: 僕は「いきなり!黄金伝説。」みたいなロケ番組に出たいです。
麟: 体を張りたいんだよね。
押花: そうです。スタジオ収録よりもロケ派ですね。無人島生活とか、トマトだけで生活するとか、そういう極限状態のロケに挑戦したいです。
――最後に、直近の目標を教えてください。
麟: 賞レースで言えば、事務所ライブの「ワタナベNo.1」決勝、M-1グランプリとキングオブコントの準々決勝進出ですね。そして、地上波テレビ出演を果たしたいです。
押花: 個人的な目標は……出待ちをされてみたいです。絶望的にファンがいなくて(笑)。僕らが帰るのを目視しているファンの方はいるはずなんですが、誰も待ってくれません。人に好かれることが目標です。