1月23日(金)、池袋・あうるすぽっとにて第18回「小田島雄志・翻訳戯曲賞」の授賞式が行われました。 日本における翻訳劇の振興を目的として設立された本賞において、この度、ワタナベエンターテインメントが企画・製作した舞台『マスタークラス』(2025年3月〜4月上演)が、その高い上演成果を認められ「上演成果部門」を受賞いたしました。
式典では、本作品のエグゼクティブプロデューサーの渡辺ミキ社長が登壇。選考委員の小田島恒志さんより、表彰状が授与されました。
会場には、本作の翻訳を手掛けられた黒田絵美子さん、出演者の池松日佳瑠さん・林真悠美さん、スーパーバイザーの穂坂知恵子さんも駆けつけてくださり、共にこの喜びを分かち合うことができました。黒田さんの言葉が紡いだカラスの魂が、このような形で評価されたことは、スタッフ・キャスト一同にとって大きな誇りです。
今回の受賞を励みに、これからも良質な演劇を皆様にお届けできるよう、真摯に作品づくりに邁進してまいります。 応援してくださった皆様、誠にありがとうございました。

「今日は人生最良の日になりました」
授賞式の壇上に立った渡辺ミキ社長は、かつて学生時代に小田島雄志先生の訳によるシェイクスピア作品に魂を揺さぶられた日々を回想。「今日は人生最良の日になりました」と、感極まる表情で喜びを語りました。
演出の森新太郎氏、翻訳の黒田絵美子氏、主演の望海風斗をはじめとする全クリエイターへの敬意と、芸術の進化させてきた先達への感謝が込められた、スピーチの全文をここに掲載いたします。
マスタークラス プロデューサーの渡辺ミキ スピーチ全文
マスタークラス プロデューサーの渡辺ミキでございます。
本日は、栄えある小田島雄志 翻訳戯曲賞を『マスタークラス』が受賞させて頂き、ありがとうございます。
私は、中学生、高校生の頃、ジャンジャンで小田島雄志先生の現代語訳によるシェイクスピアシアターの公演に毎月通っていました。小田島先生に翻訳劇好きのベースを作っていただきました私が、小田島雄志先生の賞を授賞する日が来ようとは!今日は人生最良の日になりました。
『マスタークラス』演出の森新太郎さん、翻訳の黒田絵美子さん、主演マリア・カラスを演じた望海風斗さんはじめ、『マスタークラス』の全てのクリエーター、俳優、スタッフを代表して御挨拶させていただきます。『マスタークラス』は、テレンス・マクナリーがマリア・カラスが晩年にジュリアード音楽院で行った公開授業を基に書き1995年にブロードウェイで初演され、その年のトニー賞を受賞しました。
初演をご覧になった黒柳徹子さんが、すぐ翌年の96年に日本初演を果たされました。今回はそれ以来の再演となりました。
まず、初演の翻訳をなさった黒田絵美子先生と森新太郎さんを中心に、 戯曲を仔細に読み込み、一つ一つの言葉とその奥にある意味を解き、丁寧な検討を重ねるところから始まりました。黒田先生に25年度版の日本語台本を完成して頂きました。
言語は英語だけでなく、ギリシャ語、イタリア語、ドイツ語、フランス語と多岐にわたります。
これをマリア・カラスに馴染みのない2025年の日本の観客が観劇を通して芸術を追求する人間の生き方や芸術の価値を、マリア先生の言葉を皆さんの人生の言葉として受け取っていただけるのは並大抵の事ではありませんでした。
望海風斗さんは、歌唱シーンがないにもかかわらず、マリア・カラスを 理解する為に、企画決定から程なく、クラシック歌唱を本格的に学び、 イタリア語の発音もものにして、黒柳徹子さんにもお目にかかり、できる限りの勉強をした上で、本稽古にのぞみました。
森新太郎さんはゼロからオペラを学ばれ直し、今や沢山の作品に精通されるオペラの専門家になられました。2か月の稽古は、さながら森新太郎の『マスタークラス』でした。
カラスの台詞にあるように、森新太郎さんと黒田絵美子さんの奥に、 テレンス・マクナリーを感じ、マリア・カラスを感じ、全ての素晴らしいアーティストの歴史をたどるように望海風斗とオールキャストが真摯に作り上げました。
それが叶ったことより、本日の授賞につながったのだと思うと喜びもひとしおです。
マリア・カラス、テレンス・マクナリーをはじめ、小田島先生、全ての芸術を進化させてきた先達への敬意を込めて、2025年日本版マスタークラスの作り手の演出の森新太郎さん、翻訳の黒田絵美子さん、音楽監督の谷本喜基さん、美術の伊藤雅子さん、照明の佐藤啓さん、音響の高橋巌さん・けんのき敦さん、映像の松澤延拓さん、衣装の西原梨恵さん、ヘアメイクの西川直子さん、演出助手の須藤黄英さん、技術監督の今野健一さん、舞台監督の山矢源さん、佐々木智史さん、スーパーバイザーの穂坂知恵子さん、そしてワタナベエンターテインメント舞台制作室の皆と共にマスタークラスの聴講生の観客の皆様に、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。

〈作品概要〉
20世紀最大の歌姫<プリマドンナ>、マリア・カラス。才能に奢らず訓練を怠らず、栄枯盛衰を味わいながら後世の歌手に多大な影響を与えた彼女は、晩年、名門ジュリアード音楽院でマスタークラス<公開授業>を開講した。本作は、劇作家テレンス・マクナリーが公開授業に想を得て、彼女の栄光と挫折の人生を描いた作品である。
日本では黒柳徹子さん主演で上演して以来26年ぶりの上演で、世田谷パブリックシアターを舞台に、マリア・カラスを舞台上に蘇らせたのは、森新太郎の演出、黒田絵美子の翻訳、主演の望海風斗。
授業では、あらゆる表現者に通じる真理が込められた濃密で膨大な言葉を操りながら、愛を求め、挫折を乗り越え、芸術に人生を捧げたカラスの秘めていた過去が、解き明かされてゆきました。
「アートに向き合うとはどういうことかを伝えてくれる作品。ぬくもりのある演出も素晴らしかった」と称賛されました。
【CAST】
マリア・カラス:望海風斗
ソプラノ1:池松日佳瑠
ソプラノ2:林真悠美(藤原歌劇団)
テナー:有本康人(藤原歌劇団)
道具係:石井雅登
伴奏者:谷本喜基
スウィング:岡田美優(藤原歌劇団)、中田翔真
【STAFF】
[作]テレンス・マクナリー
[翻訳]黒田絵美子
[演出]森新太郎
音楽監督:谷本喜基
美術:伊藤雅子
照明:佐藤啓
音響:高橋巖・けんのき敦
映像:松澤延拓
衣裳:西原梨恵
ヘアメイク:西川直子
演出助手:須藤黄英
技術監督:今野健一
舞台監督:佐々木智史、山矢源
宣伝美術:秋澤一彰
宣伝カメラ:児玉二郎
宣伝動画:神之門隆広
制作:大迫彩美、桑原涼大
プロデューサー:貝塚憲太
スーパーバイザー:穂坂知恵子
エグゼクティブプロデューサー:渡辺ミキ
